2015年11月30日月曜日

使いやすいファイル復旧アプリ。せっかくの高機能でも、Appストアで販売するのは難しい?

EaseUS Data Recovery Wizard
  • OS:OS X 10.6 以降
  • 掲載時の価格:9,800円
  • こんな方にお勧め:
    • 誤って削除してしまったファイルを取り戻したい方。
    • ごみ箱を空にしてから「しまった!」と慌てたことのある方。
    • DMGにバックアップしたファイルをリストア(復旧)したい方。
  • チェックポイント:元々は、誤ってハードディスクから消去してしまったファイルを復旧するためのツールです。ただし、Appストアで配信されているバージョンではDMGにバックアップされたファイルのみを扱うことができます。
EaseUS Data Recovery Wizardは、Appストアで購入後、デベロッパのサポートにメールで連絡し、Appleからの領収書(メールで送られてきます)を提示すると、フル機能が使えるバージョンのシリアルコードを入手することができます。

そもそも、この手のアプリをAppストアで販売するのは難しいと思うのです。
Appストアでは、アプリに様々な制限(レギュレーション)が課せられているため、EaseUS Data Recovery Wizardのような、本来はディスクをシステムレベルで制御するアプリの販売は認められていません。
ソコを無理に機能を制限したバージョンで配信すると、せっかく高機能なアプリであっても残念な事になってしまいます。(EaseUS Data Recovery Wizardのレビューが酷評されているのは、これが原因です。)

ということで、Appストアで配信されているバージョンでは、あらかじめバックアップとして作成されたDMGファイルから、ファイルを抽出する機能しか実装されていません。
ハードディスク(SSDを含む)そのものを認識し、取り扱う機能はAppleのレギュレーションに抵触するため、実装されていません。

ということで、当鑑定団ではデベロッパのウェブページで販売されているフル機能版のレビューをお送りいたします。

ご存じの方も多いと思いますが、どのOSに依らず、ファイルの削除というのはOS上からファイルの実体が書き込まれている場所の「記録」を、白紙にすることです。
喩えていうなら、OSから見ることのできるファイルは住民票、ファイルの実体はお住まいの方、という感じでしょうか。

OSは住民票に基づいて実体のファイルを表示させたり、実行したりします。つまり、たとえそこに実体のファイルがあったとしても、住民票に記載がなければOS上からはファイルは存在しないという判断がなされます。

各種のファイル復旧アプリはこの仕組みに乗っ取って、住民票から記載の削除されたファイルを探し出して復旧することを試みるものです。

EaseUS Data Recovery Wizardは、その名の通りウィザード形式で作業を進めていきますので、どなたでも簡単にファイルの復旧を試みていただく事ができます。
日本語化されていますので、操作に迷うこともないでしょう。

この手のファイル復旧アプリには2つ、重要な注意事項があります。
これらは、EaseUS Data Recovery Wizardに限ったことではなく、すべてのファイル復旧アプリ(WindowsでもMacでも)に共通します。

一つは、誤って削除したファイルを復旧するには、削除直後に・他の操作をすることなく・速やかにファイル復旧を行うことです。
これは、先の喩えで言うならば、住民票に記載がない場所には、新たな住人を配置する可能性があり、そうなると以前の住人は追い出される(復旧不可能)事態を避けるということです。
そうでなくてもモダンOSは、ユーザーの操作と関係なくディスクの入出力を行うのが常ですから、復旧は早ければ早い方が望ましいのです。

もう一つは、復旧したいファイルが保存されていたディスクとは、物理的に別のディスクを復旧用に用意することです。 前述の仕組みでおわかりいただけると思いますが、復旧するファイルを復旧したいファイル(ややこしい!)に上書きしてしまう可能性を避けるための措置です。

さて、復旧したいファイルの種類は、絞り込んだ方がより検索が早くなります。
もともとファイルのあった場所(ハードディスク)を選んだら、スキャン開始です。

スキャンが完了すると、ハードディスクのフォルダ構造に沿った形で、復旧可能かもしれないファイルが表示されます。
タブを切り替えることで、ファイルの種類や作成日で検索することもできます。

もしこの時点で、目的のファイルが見つからなかった場合は、ディープスキャンを行うことで、ファイルを探し出すことが可能になるかもしれません。

EaseUS Data Recovery Wizardは検索結果のエクスポート機能があります。次回の検索時の時間を大幅に短縮してくれますが、前述の通り、ファイル削除から時間が経てば経つほど、ファイル復旧の可能性は劇的に低くなりますので、利用頻度は高くないでしょう。

目的のファイルが見つかったら、チェックマークを付けてリカバリーボタンをクリックしましょう。


ファイルを復旧するには、前述の通り別のディスクを用意して、そこにデータを書き込みます。無事書き込みが終了すると完了のポップアップメーセージが表示されます。

肝心のデータ復旧率ですが、外付けのUSBディスクやデジカメのSDカードなどは、比較的安定して取り戻すことができました。Macの内蔵ディスクの場合は、今のところ8割というところでしょうか。

これはやはり、ファイルの削除直後に「ディスクに書き込みが無い状態」がある方がファイルを復旧させやすい(削除したファイルの位置に別のデータが書き込まれる可能性が低い)からですね。